1. 始める前に
Dynamic World は、ほぼリアルタイムで更新される LULC(global land-use land-cover: グローバルな土地利用、土地被覆)データセットです。欧州宇宙機構(ESA)の Sentinel-2 光学衛星と、2〜5 日ごとに地表のグローバル画像を更新するコペルニクス プログラムを使用することで、10 メートルの解像度が得られます。Dynamic World は、ディープ ラーニング モデルの Vertex AI と、地理空間分析プラットフォームである Earth Engine を使用して作成されており、科学者、研究者、開発者が、地球の表面の変化を検出し、傾向をマッピングし、違いを定量化するのに役立ちます。
Earth Engine は、地球の成り立ちに関する高度な科学的知識を深め、環境と社会へのさらなる貢献を目指すためのツールです。その商用利用(Google Cloud のプレビュー版)における主な目的は、森林破壊、水管理、持続可能な土地利用などの重要なサステナビリティと気候の問題を理解して対処することです。
この Codelab では、機械学習に由来するデータセット(Dynamic World など)の生成における責任ある取り組みについて説明します。
学習内容
- リモート センシング アプリで責任ある AI を実践する方法
- 空間と時間における Dynamic World の予測を視覚的に解釈する方法
- 倫理的な影響や下流の社会的な影響を反映する方法
必要なもの
- Earth Engine アプリの操作方法に関する基本知識
- Google Chrome(Earth Engine アプリの動作に最適)
2. Dynamic World Earth Engine アプリを開く
Dynamic World データセットには、この表に示す 9 つの LULC クラスの予測がピクセル単位で含まれています。土地利用は人間がどのように土地を利用しているかを示すのに対し、土地被覆は地球表面の物理的な物質を表します。
LULC の種類 | 説明 |
水 | 恒久的な水域、季節的な水域 |
木 | 一次林、二次林、大規模植林地 |
草 | 自然の牧草地、牧畜場、公園 |
水生植物 | マングローブなどの水生の生態系 |
作物 | 畑作物、水田作物 |
低木、低灌木 | 低木が生い茂る低密度の疎性群落 |
建築エリア | 低密度および高密度の建物、道路、都市の広場 |
裸地 | 砂漠、むき出しの岩 |
雪と氷 | 万年雪、季節的な積雪 |
このデータセットの画像には 10 個のバンドがあります。具体的には、9 つの LULC クラスそれぞれの推定確率を示す 9 つのバンドと、推定確率が最大のクラスを示すクラスラベルのバンドです。これらの特性により多次元の分析が可能となり、ユーザーのニーズに合ったカスタム製品を作成できます。
Dynamic World Earth Engine アプリを開くには:
- ブラウザで別のタブを開きます。
- [Dynamic World] に移動します。
この地図は、ズームレベルが高くなると陰影起伏の Top1
モードモザイクが表示されます。
- 地図をクリックすると、クラスの確率の推移がグラフで表示されます。
- グラフのデータポイントをクリックして、特定の予測値とその Sentinel-2 画像を読み込みます。
- [Layers] ペインで、レイヤと公開設定を調整します。
3. ブラジルにおける Dynamic World の予測を詳しく見る
Dynamic World には、9 つの LULC クラスすべての予測が含まれ、ピクセルごとに 1 つの Top1
ラベルが表示されます。現実世界では、すべての空間分解能で多くの LULC クラスが混在しています。このセクションでは、空間的および時間的な予測を視覚的に解釈します。
ブラジルにおける Dynamic World の予測を詳しく見るには:
- ブラウザで、Dynamic World EE アプリにアクセスします。
- [Search places] フィールドに「
Sete de Setembro, Brazil
」と入力します。
ブラジルのロンドニア州セテ デ セテンブロ地域に住む先住民 Paiter Surui の地域に関して Dynamic World で計算したデータが表示されます。
- [Dynamic World] ペインの [Start date] フィールドに「
2016-01-01
」、[End date] フィールドに「2022-01-01
」と入力して、[Update] をクリックします。
地図はリアルタイムに計算されるため、読み込みに数分かかることがあります。
- 地図上の任意の場所をクリックすると、グラフがリアルタイムで生成されます。
拡大すると、応答が速くなります。
- このグラフ(y 軸がクラスの確率、x 軸が時間)を詳しく調べます。
この例では、2016 年 1 月 1 日から 2017 年 7 月 27 日までの Top1
クラスの予測は「木」で、確率は 0.684 から 0.755 まで変化します。次の Sentinel-2 シーンが 2017 年 9 月 5 日にキャプチャされるまで、予測は「木」でなくなり、ノイズが多くなります。
- をクリックするとグラフが拡大されます。
4.完了
ここでは、機械学習に由来するデータセット(Dynamic World など)の生成における責任ある取り組み方を学びました。